印象ミニレポート

第4回 高野山金剛峯寺 根本大塔
今回の訪問先は高野山金剛峯寺根本大塔(こんぽんだいとう)です。

高野山壇上伽藍(だんじょうがらん)のシンボルとして、その一角に聳(そび)える根本大塔は高さ約48.5m、約23.5m四面の朱塗りの塔で、今から約1200年前に弘法大師によって創建された日本で最初の多宝塔です。
一歩、中に足を踏み入れると、立体曼荼羅(まんだら)の世界が目の前にひらけ、整然と並んだその姿に思わず手を合わせてしまう程の荘厳さです。

その中で柱絵《十六大菩薩》と四隅の壁面に描かれた《真言八祖像》さらに、その下部にある《花鳥図》全てが堂本印象画伯の揮毫による作品です。
幾度かの火災に見舞われ、その都度再建されてきて、現在の塔はコンクリート造りだとの事です。

昭和12年の根本大塔再建にあたり、高野山金剛峯寺からの依頼を受けて制作を担ったといいます。

印象は無類の読書家で実に多方面の書物を読み、研究者にも劣らぬ深い知識を持ち、仏画を制作する時にも関連する経典を全て読みこなし、僧侶が舌を巻く程の宗教的な言葉、観念に造詣が深かったとの事です。

また、印象直筆の書には寺院の奉納画を描くときは必ず般若心経を唱えながら身を清めて制作に取り組んだとあります。
四隅の壁面上部には八祖像があり、その下部には、鮮やかで優美な花鳥図が、見る人の心に安らぎを与えるかのように描かれています。

祖師像は、1枚がたたみ8畳分位の大きさです。天井近く高い所に位置するので細かい所までは分かりにくいですが、肉太に描かれた線が画面をとても重厚にし、見る人が祖師に見守られているような空間を味わうことができます。
柱絵の十六菩薩像は平成8年に修復され、より鮮明なあでやかさで堂内を彩っています。
同じように見える柱絵も1体ずつ異なる姿や、手の形、衣の図柄、飾り物の違いなどを比べながら見るのも楽しみ方のひとつかと思います。笑顔の菩薩や青い菩薩もおられるんですヨ!

印象はこの柱絵の制作にあたって全体を同一の調子に仕上げる為に3〜4枚ずつを8分通り仕上げて、最後に16枚を時間を置かずに仕上げたと書いています。
大変な作業の末に出来上がったこれらの作品を寄贈し、根本大塔に収まるのを見届けたということです。

今回のレポートで改めて堂本印象の豊かな才能や見識の深さ、その偉大さに触れる事ができ、改めて今後も一つでも多くの作品を見てみたいという気持ちが強くなりました。

取材当日、お忙しい中お世話頂けた高野山総長公室のご担当者様に御礼申し上げます。


アクセス 
・南海高野線 極楽橋駅―(ケーブル・約5分)→南海高野山ケーブル 高野山駅―(南海りんかんバス・約15分)→金堂前(正面金堂横が根本大塔)
(「高野山・世界遺産きっぷ(割引付き)」も便利です)

京都府立堂本印象美術館
ボランティアスタッフ 
執筆:日比/撮影:日比、芦田
【2017年10月16日】
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