印象ミニレポート

第6回 釘抜地蔵
千本上立売にある石像寺(しゃくぞうじ)は、釘抜地蔵(くぎぬきじぞう)という愛称で親しまれている浄土宗のお寺です。1964年、地蔵堂の前に、堂本印象によるブロンズのモニュメントが奉納されました。
千本通に面する山門から境内を臨むと、モニュメント、地蔵堂までが一直線に見えます。
参拝者は、毎日訪れる地元の方から、北海道、台湾や香港に在住の方まで多岐にわたります。
釘抜地蔵という名前ですが、元々は弘法大師が人々の苦しみを救うために造仏した地蔵菩薩の尊像が、苦抜地蔵(くぬきじぞう)と呼ばれていました。その後の室町時代に、両手に痛みを持つ商人が苦抜地蔵に願掛けをしたところ、釘が抜かれる夢を見て、目覚めると痛みが引いていたという霊験談があり、釘抜地蔵(くぎぬきじぞう)と称されるようになりました。
地蔵堂は、参拝者が奉納した釘抜と八寸釘の絵馬によって覆われ、独特の雰囲気があります。
印象はもともと釘抜地蔵を信仰しており、また母親思いの人でした。さらに、印象の弟子である画家・岩澤重夫さんは石像寺で住み込みをしていました。その縁から、印象の母が亡くなったとき、往生のお礼として、印象は釘抜きのモニュメントを制作することになりました。
当時のようすを知る現在のご住職のお話によると、モニュメントの奉納後も、参拝者の方々は以前と変わらず釘抜地蔵を訪れ、モニュメントは信仰の象徴として、違和感なくお寺に馴染んだそうです。モニュメントは、印象を知らない参拝者からも愛されてきましたが、私は印象による芸術作品としても十分楽しめる造形を兼ね備えていると思います。
このモニュメントは、印象作品のなかでイレギュラーなものに感じましたが、印象の思考を明瞭に表した作品であり、信仰心の強い印象だからこそ制作できた作品だと思います。ご住職曰く、印象は普段の会話からも信仰心の強さが滲み出ていたそうです。
よく見ると、印象の名前が刻印されています。 台座は、印象の意向により、岩澤さんが担当しました。
モニュメントは、参拝者によって撫でられ、よく触られる部分は光沢がでています。
モニュメントをはじめ、石像寺にある仏像は、たくさんの供え物がされていて、親しまれていることが見てとれます。

石像寺は、人々の信仰心が連綿と伝承されている素敵なお寺でした。みなさんも是非訪れてみてください。
最後に、今回お話をしてくださったご住職、ありがとうございました。


アクセス 
・市バス6、46、59、206系統「千本上立売」下車 徒歩約2分

京都府立堂本印象美術館
ボランティアスタッフ 
執筆・撮影:若林
【2018年2月28日】
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