印象ミニレポート

第8回 大神神社
奈良県桜井市にある三輪山を御神体とする大神神社を訪問しました。
目的とする印象作品は抽象画の大作「和(わ)」と「光(こう)」です。(2点とも168cm×210cm)

2点は宝物収蔵庫にあり、三輪山麓出土の祭祀考古遺物やご神像など伝世のご神宝が展示されているケースを挟んで対面に壁画として神々しく飾られていました。額縁も印象の作品で相当な重量があります。
印象の言葉で「日本画は一見形象をもって表現しますが、この形象が常に筆者の心を物語るものでなければなりません。心を表現するために形象を借りて自然物なり対象物なりの姿を通して筆者がその精神を伝える」とあります。

抽象画ではありますが、筆者の精神を伝えるため、紙と岩絵具、墨や金、銀という日本画特有の素材により表現され深い内容を持った「和」と「光」を揮毫されたと考えられます。

動きのある墨線、墨の濃淡、金彩と色彩が醸し出す世界観は素晴らしいです。

「和」は柔らかく明るい。墨線や散りばめられた金や赤の点が描かれており、暖かく包まれているように感じました。「光」は力強く美しい。墨線には動きがあり、金は照明によって表情を変えます。全体が光り輝くと神々しく感じられたり、一ヶ所の金が光ると色彩が華やかになります。
大神神社と抽象画という珍しい組み合わせがなぜ生まれたのかという疑問が湧いてきます。
印象の抽象画にほれ込んだ当時の中山和敬宮司が「神の世界も抽象の世界。信仰の本体をシンボライズ(象徴化)した壁画をお願いしたい」と持ちかけ、満80歳を迎えた印象は二年がかりで昭和47年にようやく「和」と「光」をテーマにした二枚の壁画を完成しました。
大神神社の御祭神は海原を光り輝いて顕れ、三輪山に鎮まったと『古事記』、『日本書紀』に記されています。そして出雲の大己貴神(おおなむちのかみ)の和魂(にぎみたま)という分霊が、大物主神(おおものぬしのかみ)(当時の御祭神名)の御名で鎮まったとされています。このような神話の話を理解した上での「和」と「光」の命名だと考えられます。

三輪山会館応接間には優しい色合いの「森の朝」(※)という印象作品が飾られていました。
(※「森の朝」は非公開となっております。ご了承くださいませ。)
宝物収納庫のすぐ傍に数点の万葉歌碑があり、印象書の歌碑もあります。

印象書の歌碑
うま酒三輪のはふりが山照らす
秋のもみぢば散らまく惜しも
(長屋王)
展望台からは三輪山、大和三山や二上山を眺望する絶景を見ることができます。
皆さまもパワースポットの大神神社、三輪山に是非お出かけください。
宝物収蔵館は毎月1日と土日、祝日に開館されます。

最後になりましたが、今回の取材にご協力いただいた大神神社の方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。

アクセス 
JR三輪駅 下車 徒歩約10分

京都府立堂本印象美術館
ボランティアスタッフ 
執筆:芦田/撮影:芦田、日比
←印象ミニレポート一覧に戻る


■ お問合せ
京都府立堂本印象美術館
〒603-8355 京都市北区平野上柳町26-3
電話 075-463-0007   FAX 075-465-3099  E-mail museum@d-insho.jp