深草  1919(大正8)年 第1回帝展 絹本着色 2曲1隻 166.0×184.0cm
 文展改め帝展となった第1回展に出品され初入選を果したこの作品は、印象が公募展に出品した最初の、謂わばデビュー作ともいえるものである。
 制作にあたり、作者は京都南東の郊外地である深草周辺を実際に訪れ、作品の構図とよく似た場面、そして池や小屋のスケッチを数枚残しているが、深草という特定の地を写生的に表現することよりも、作者はむしろ収穫の終った農村地での情景を通じ、自らの情感を表現することに主眼を置き、全体をセピア調のトーンで示し、この期特有の静かな寂寥感を伝えようとしている。左右から中央に凝縮させたようにそれぞれ微妙な歪みをもたせて描かれた事物が構成する画面は、対象を自分の視点側に引寄せ展開しようとする作者の眼差しを感じさせ、観る者を不思議な遠近感の世界に引き入れる。

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