太子降誕 1947(昭和22)年 第3回日展 絹本着色 2曲1隻 173.0×192.0cm
 太子とは聖徳太子のこと。厩で誕生したという歴史的伝説に基づき、その場面が表されている。
 主に用いられた白描の手法、抑えた色彩が聖なる時の表現に効果的であるが、俯瞰的にとられた構図は奥ほど広がっており、遠近法が意図的に崩されている。また、人物たちの視線は個々別々の方向に向けられており、それぞれの連携感が希薄である。得意の歴史的題材を取上げながらも、その作風は近づくモダニズムを確実に伝え、今後の大きな転換を予感させるものとなっている。過去との訣別と新展開への決意・・戦後の混乱期に発表したこの作品により、作者は同じく争乱の世に起った太子誕生に今後の新生日本を象徴させたが、画家印象の芸術そのものにとってもまさに象徴的な作品となった。

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