堂本印象は、1891（明治24）年に京都に生まれました。1918（大正7）年に京都市立絵画専門学校（現・京都市立芸術大学）に入学し、翌年の第1回帝展に「深草」で初入選を果たしてはやくも画壇に登場した印象は、在学中から京都画壇の重鎮西山翠嶂に師事し、「調鞠図」（第3回帝展特選）、「華厳」（第6回帝展、帝国美術院賞）など次々と話題作を発表して、またたく間に画壇の中枢に躍り出し、やがて画壇の指導者の一人となりました。また、画塾東丘社を主宰、母校の京都市立絵画専門学校で教鞭を執るなど後進の指導にも力を尽くし、1961（昭和36）年には文化勲章を受章、1975年に亡くなるまで近代日本画壇を代表する一人として活躍しました。
　印象の表現は、東洋の古典に西洋画を取り入れた具象絵画から、戦後の抽象絵画にいたるまで幅広い展開を遂げました。なかでも、自ら「新造形」と名付けた抽象表現は、常に挑戦を続ける画家・印象ならではの取り組みでした。京都で育んだ日本画の技法を基に、流動的な墨線の交錯と華麗な色彩によって構成された先駆的試みは、やがてパリやトリノ、ニューヨークなど海外でも注目されたのです。
本展では、トリノでの展覧会に出品した「風神」のほか、文化勲章受章の年に制作され、印象の抽象表現様式を完成させた「交響」など、1950年代から70年代の作品群を中心に、抽象表現にいたる過程の作品も併せて展観します。日本画壇にとどまらず、世界に飛躍した印象の独創的な芸術をご鑑賞ください。

■ミニ企画：印象の初期作品
ミニ企画では、大正・昭和初期の絵画、素描を展示します。大正８年に本格的に日本画家として歩み始めた青年画家・印象の情感あふれる初期作品を紹介します。

会　期

2009年3月13日（金）～2009年6月14日（日）

休館日

毎週月曜日、5月７日（木）　[　5月4日(月)は開館　]

開館時間

午前9時30分 ～ 午後5時（入館は午後4時30分まで）

入館料

一般 500円（400円）、高大生400円（320円）、小中生 200円(160円)　(　　) 内は、20名以上の団体料金

主催

学校法人立命館、京都府