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花鳥風月のこころ

【花鳥】とは、文字通り花と鳥のことですが、花を見、鳥の声を聞いて楽しむ風雅な心を意味する言葉でもあります。一方、清風と明月に代表される自然の景色を示す【風月】も、自然の風物を心の糧として楽しむ意味としてとらえられます。つまり【花鳥風月】は、自然の美しい様と、その風流を愛でる心を示すものとして、東洋人の自然観、特に日本人ならではの四季に対する感覚を基としながら、われわれに親しまれてきたといえるでしょう。その結果、花鳥画や山水画は、東洋固有の絵画ジャンルとして発展し、日本の画家たちはそれらに四季の移ろいや事物を巧みに加味してきたのです。特に、江戸時代後半から近代にかけての京都派の画家たちは、あたかも詩歌を諷詠するかのように自然を表現することを得意としました。
その流れをくむ画壇で活躍した堂本印象もまた、【花鳥風月】に関する多くの作品を遺しています。しかし印象は、自然を素直に再現することよりも、その色形を借りて、自らの心情を表わすことに画業をかけた画家でした。このことは、同じ主題を描きながらも、時代により様々な表現の展開を見せたことや、独自の抽象的な表現へと移行していったことからうかがえるのではないでしょうか。
数多くの先達の画家たちが取り組み、今なお、日本画の主要な主題として人気を誇る【花鳥風月】。本展では、草花や鳥、小動物、そして自然の景観を主題とした約60点の作品を展観し、印象が表わした【花鳥風月】の普遍性と独自性を探ります。出品作を通じ、作者、そして受け取る側のこころを改めて考え、感じる場としていただければ幸いです。

企画展
花鳥風月のこころ
会期
2006年7月4日(火)~10月15日(日)
休館日
月曜日((ただし、7月17日、9月18日、10月9日は開館、代りに、7月18日、9月19日、10月10日を休館))
開館時間
午前9時30分 ~ 午後5時(入館は午後4時30分まで)
入館料
一般 500円(400円)、高大生400円(320円)、小中生 200円(160円) (  ) 内は、20名以上の団体料金

Event

■ ギャラリー・トーク
 日時:平成18年7月8日(土)午後2時から
 場所:当館2階展示室
 *入館料のみにてご参加いただけます。